オンライン診療の導入について~動物病院さまのメリットデメリット~

【シグナビお役立ち情報】オンライン診療の導入について -動物病院さまのメリットデメリット-

掲載日:2025.2.25

※本記事は、動物病院向けのオンライン診療を提供する株式会社セゾンペット代表取締役清水淳氏の監修のもと、動物病院様の業務課題とその解決手段として注目されているオンライン診療について詳しく解説しています。

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、医療の現場は大きく変わりました。
これによって、これまでは獣医師が診察をする手段として「対面」が基本でしたが、現代社会の状況を踏まえ「オンライン」という代替手段が求められてきました。
その結果、2024年12月27日に農林水産省より指針が発信され、「対面」の代替として「オンライン」で診察を行うことが初診からでも可能となりました。
この記事では、動物病院さまがオンライン診療を導入するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
オンライン診療の導入を検討する際の参考として、是非お読みください。

オンライン診療の導入背景

オンライン診療とは、ビデオ通話等のICTツールを活用して遠隔地にいる患者と医師がリアルタイムに診療を行うことを指します。
動物医療の分野においても、飼い主さまと獣医師さまがビデオ通話等のICTツールを介してコミュニケーションを取り、動物の健康状態を評価することが可能となります。
これによって、感染症拡大を防ぐのはもちろんのこと、飼い主さまの利便性も高まります。

オンライン診療のメリット

1. 地理的制約の解消

昨今、動物病院の専門性が進んでいる中、遠方に住んでいる飼い主さまにとって、継続通院は大きな負担です。
状況に応じてオンライン診療を活用すれば、通院負担を軽減しながら専門的な診療を提供することができます。
これによって、動物病院は商圏を拡大することができます。

2. 定期的な健康管理の促進

飼い主さまにとって、動物病院への通院は時間と労力を要するものです。
オンライン診療であれば、通院の時間を節約でき、慢性疾患や高齢の動物に対する定期的な健康管理がオンライン診療によって容易になります。
定期的なフォローアップや症状のモニタリングを行うことで、早期発見と早期治療が可能となり、動物の健康状態をより良好に保つことができます。

3. 飼い主とのコミュニケーション強化

オンライン診療を通じて、獣医師さまと飼い主さまが頻繁にコミュニケーションを取ることができます。
これにより、飼い主さまの不安を軽減し、適切なケアを提供することが可能となります。信頼関係の構築にもつながります。

4. 院内の混雑緩和

これまで時間を要する相談(セカンドオピニオンなど)は診察室を使い行ってきました。これによって、院内が混雑してしまうことがあります。
オンラインを通じて相談(セカンドオピニオンなど)を行うことで、診察室を空けることができ、時間をかけて飼い主さまと向き合うことができるようになります。
これによって、院内の混雑緩和に繋げることができ、じっくりと相談に乗ることで、動物病院さまの評判も上げることができます。

5. 感染リスクの低減

対面診療ではどうしても感染リスクが伴います。特にFIPのような感染リスクがある症状では、動物病院内での感染拡大を防ぐことが重要です。
オンライン診療を導入することで、直接の接触を避けることができ、獣医師さま、飼い主さま、そして動物の安全を確保することができます。

オンライン診療のデメリット

1. 初診の難しさ

オンライン診療は再診やフォローアップには有効ですが、初診の場合には限界があります。動物の詳細な健康状態を評価するためには、対面での診察や触診が必要です。
現在は、詳しい検査が必要かどうかを調べる初期段階の診療などはオンラインに適しているとの見解も国で勧められ始めています。

2. 技術的な課題

オンライン診療を行うためには、適切なインターネット環境とデバイスが必要です。
飼い主さま側が技術的な問題に直面することもあり、スムーズな診療が難しくなる場合があります。また、動物病院さま側も専用のシステムやセキュリティ対策が求められます。

3. 法的・規制の制約

オンライン診療に関する法的・規制の整備が進んでいるとはいえ、完全にクリアされたわけではありません。
特に、初診に関する規制やプライバシー保護の観点からの制約があります。これらの法的問題をクリアするための対応が必要です。

4. 対面診療との連携

オンライン診療だけでは完結しないケースも多いため、対面診療との連携が重要です。
オンライン診療での診断結果を基に、必要に応じて対面診療を行う体制を整備することが求められます。

オンライン診療導入のためのステップ

オンライン診療を導入するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

1. システムの選定と導入

信頼性が高く、操作が簡単なオンライン診療システムを選定します。
セキュリティ対策がしっかりしていることも重要です。

2. スタッフのトレーニング

オンライン診療をスムーズに行うために、スタッフへのトレーニングが必要です。
スタッフのトレーニングをサポートしてくれる会社を選定することや、トラブルシューティングの方法を理解しておくことが重要です。

3. 飼い主さまへの説明とサポート

オンライン診療の利用方法について、飼い主さまに対して丁寧に説明し、サポートを提供します。
疑問や不安に対応するための窓口を設けたり、サポートをしてくれる会社を選ぶと良いでしょう。

4. 法的・規制の遵守

オンライン診療に関する法的・規制を遵守し、プライバシー保護に配慮した診療を行います。
最新の法規制情報を常に把握しておくことが重要です。

オンライン診療の未来

オンライン診療は今後ますます普及していくことが予想されます。
技術の進歩とともに、より高度な診療が可能となり、動物医療の質も向上していくでしょう。
動物病院さまがオンライン診療を導入することで、飼い主さまと動物の双方にとって大きなメリットを享受できるようになります。

シグナビで紹介しているセゾンペットの「オンライン診療」は、飼い主さまの顧客定着率を高めるサービスです。スマートフォンやパソコンを使い、院内業務の「予約・診療・決済」をオンライン化。飼い主さまに選ばれる利便性の高い動物病院作りをサポートします。

オンライン診療の導入を検討されている動物病院さま向けに、詳細な資料をご用意しております。具体的な導入方法やシステムの選定、スタッフのトレーニング方法など、実践的な情報が満載です。お気軽に資料請求・お問い合わせください。

監修

清水 淳  Atsushi Shimizu

株式会社セゾンペット 代表取締役
ペットと人のより良い共生を目指し、ペット業界における多角的なサービス展開をリード。豊富な業界知見をもとに、経営視点とユーザー視点の両面から事業を推進している。